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執筆者の写真Ryutaro Tokutsu

2021年7月8日 研究成果が科学誌に掲載されました

更新日:2021年7月27日

前職での仕事(Project 01)の内容が、科学誌Nature Plantsに掲載されました。

* 論文pdfはコチラ

植物や緑藻が「刻一刻と変化する光を効率的かつ安全に光合成に利用する仕組み*」について、構造生物学、生理学、生化学、分光学的手法を駆使して明らかにしました。

* 専門用語で "ステート遷移" と呼ばれています


具体的には、構造生物学的手法(クライオ電子顕微鏡を用いたタンパク質単粒子解析)を利用し、上記の仕組みが働いている時の巨大な光合成装置のタンパク質超複合体構造の大枠を決定しました。


光合成装置は、数十にも及ぶ多数のタンパク質分子が「正確にパズルのように組み合わさって」作られています。

それらは光化学系1および光化学系2と呼ばれる2つの反応中心複合体と、それぞれに結合する集光アンテナタンパク質複合体から構成されています。


本来、これら2つの光合成装置は遺伝子の発現とタンパク質の合成を経て組み上げられますが、自然界において光が変化するスピード(数秒から数分)に比べてとても遅いことが分かっています。

このような「早い光環境変化」に対応するために、2つの光合成装置は一部の集光アンテナタンパク質複合体(つまりパズルのピース)を共有し、環境に応じて遺伝子発現・タンパク質合成を行わずに複合体の構造を再編成することが知られていました。

しかし、再編成に関与する集光アンテナタンパク質や光合成装置の部品(パズルピース)、再編成された光合成装置の構造(パズルピースの組み方)については、分かっていないことが多く残されていました。


今回、主に構造生物学的手法と遺伝学的手法を組み合わせることで、緑藻に特徴的なパズルピース、植物と緑藻に共通するパズルピース、そしてそれらの組み方を明らかにすることができました。

本研究で明らかにした「パズルピース」そして「パズルピースの組み方」の情報は、あくまで基本的な情報に過ぎません。

しかし、将来的には人の手で光合成装置を改変する・新規に組み上げるといった生物工学的応用研究の際には、必須かつ「利用する人次第では予想外の発展につながる」情報になると信じています。


本研究は下記の研究サポートを受けて実施しました。末筆ながら御礼申し上げます。

・若手研究A(代表)​2015 - 2019

光合成超分子複合体を駆使した消光メカニズムの解明

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