研究室立ち上げ物語
- Ryutaro Tokutsu

- 4月2日
- 読了時間: 11分
更新日:10月26日
ここでは、得津が北里大学に来ることが決まってから研究室が始まるまで、そして2025年度の研究室スタート直後の何かしらを適宜記録していきます。
着任前、研究室が入る予定の建屋(旧看護学部)の改修前写真(202X年・某日)
着任前、研究室が入る予定の建屋(旧看護学部)の改修中写真@2025年1月27日
助教で着任予定(当時)の八木さんと一緒に改修工事現場の見学と意匠確認を行いました。
廊下や隣の研究室との間の壁も無くなっていて、とてつもなく広い研究室スペースのように感じて喜びましたが、案の定錯覚でした(笑)。
着任直後、研究室が入る予定の建屋の改修中写真@2025年4月10日
だいぶ内装の雰囲気が出てきました。
建屋周辺の桜も満開で素敵な景色でした!
来年以降は研究室の窓からお花見ができそうです。
研究室が入る予定の建屋の改修中写真@2025年4月25日
電源箇所が決まってきて、フロアカーペットも設置されて良い雰囲気ですね。
桜はすっかり葉桜に。
研究室が入る予定の建屋の改修中写真@2025年5月15日
実験エリアと居室エリアを分けるパーティションの枠組みができてきました。
居室エリアの床はタイルカーペット、実験室エリアの床は防水加工のものが完成してきました。
教員室のパーティションも完成し、教授室と教員室の内装はほぼ出来上がってきました。
そして学生居室とメイン実験室の天井が天窓まで吹き抜けになっているので、良い感じに開放的な研究室エリアに仕上がってきました(本当は空調や電灯用架橋がないともっと良いのですが・・・そういうわけにはいきません)。
研究室が入る予定の建屋の改修中写真@2025年5月30日
パーティションの壁とガラスがはめこまれたことにより、完全に各部屋が区切られました。
開放感が若干低下しましたが、天窓のおかげでまだ明るく開放的な雰囲気は残っています。
学生室には、これからフリーアドレス制のデスクや、スタッキングシェルフ、ディスカッションエリアが設置されます。
ディスカッションエリア前の壁は全面ホワイトボード仕様(反射を抑えてプロジェクター投影しながらディスカッション可能)にしました。
職人さんによるホワイトボードシートの貼り付けが完璧すぎます(得津の超細かい要望を全て満たしてくれました)!
P1/P2実験室には、最終的にクリーンベンチと培養用インキュベーターが複数台並び、遺伝子組換え操作のための機器も設置予定です。 暗室予定の場所には暗幕カーテンを設置し、蛍光顕微鏡を2-3台が設置されます。
メイン実験室に入る中央実験台や試薬棚・作業台の選定もほぼ完了したので、7-8月中には研究室の全体像が出来上がってくると思います。
研究室前の廊下兼ラウンジスペースは、全面ガラス張りで開放感がMAXなエリアとなっています。
他の研究室の方々との交流の場としてこの上ないスペースですね!
研究室が入る予定の建屋の改修中写真@2025年7月16日
建屋内部の案内板が設置されました。
カラーリングは、獣医学部カラーのオレンジです。なかなか鮮やかな色味ですね。
研究室の看板「生物機能開発学研究室・Green Engineering Biology Laboratory」もいい感じですね。
(居室、実験室のドア窓に貼られている正方形シールにはちょっと思うところがありますが・・・)
学生さんたちが使う居室にはホワイトボードの壁、各種資料・備品が置けるスタッキングシェルフ、ちょっとしたシンクが設置されています。
教員室と教授室前には、研究用の専門書を並べるためのスタッキングシェルフが設置されており、学生さんを含めて気軽に立ち読みしてもらえるような環境を意識しています。
教員室と教授室にもスタッキングシェルフが設置されています。
居室フロアのカーペットの色が暗いブラウン系で、スタッキングシェルフもウォルナット色を指定したので「同系統の色味で微妙な違いが違和感を出したらどうしよう・・・(汗」とずっと心配していましたが、イメージ通りの色味でとてもいい感じの仕上がりになりました!
研究室が入る予定の建屋の改修中写真@2025年8月25日
当初は4月着任時に全て完了している予定でしたが、8月の終盤になりようやく什器(デスクや実験台)の搬入が始まりました。
什器の固定後、9月になれば京都大学から実験機器を移設する予定です。
研究室のデスク・実験台搬入が完了@2025年8月29日
デスクと実験台の搬入・組み立て設置が完了しました。
コンセプトは、カフェのようで企業の研究開発室のような大学の研究室、です(なんのこっちゃ笑)。
学生居室はフリーアドレス制で、カフェのように空いている席を使ってもらいます。
大学院生以上の学生さんは、ある程度好きな場所を固定席にできるかもしれません。
また、居室内の一部の壁を全面ホワイトボード・スクリーン仕様にしているので、投影したプレゼン資料にその場で書き込みながらディスカッションができるようにしています。
学生居室からは実験室を一望(逆もまた然り)できるように、ガラスパーティションを遮らないように什器を配置しています。
ドラマ等で見かける民間企業の研究開発室のように開放的で、どこで誰が何をしているかが見える雰囲気になっていると思います。
50年以上前に建てられた建屋・看護学部棟の構造上、完璧・満足な仕上がりとはなりませんでしたが、その中でも最大限、動線・作業性・採光性・アクセス性に配慮した設計と什器選定を行いました。
9月からは、京都大学より実験機器の移設を進めていきます。
(正直、かなりのハードスケジュールです・・・泣)
長かった研究室準備期間もいよいよ終わりに近づいてきました。
思い返せば、図面設計や什器・機器選定には都度多くの時間を取りましたが、初めて体験するような業者の対応が多く色々と考えさせられることもあり、とても勉強になりました。
泣いても笑っても、もうすぐ完成ですね(最後まで気を抜けないのも、また勉強です・・・)。
京都大学から北里大学への機器移設が完了@2025年9月8-11日
ついに、得津の前職・京都大学から北里大学へ実験機器諸々の移設を行いました。
搬出3日前に京都入りして梱包作業を行いつつ、理学部植物園に残置していた荷物を全て理学部2号館へと移動させました。(搬出日に1箇所からトラックに積み込むため)
京都は残暑が厳しく、汗をダラダラと流しながら荷物を運び出すことになりました・・・
数年間お世話になった部屋もスッキリしてしまい、ちょっと寂しい思いも感じましたが、また松下研の次の利用者にご活用いただければと思います。
搬出当日は、営業管轄外のカークの方々までサポートに来てくださり、途中「これは絶対にトラックに載り切らない・・・無理!」と感じながらも、3時間にも及ぶ絶妙な積み込みで最後は全て積載してもらうことができました・・・天晴れとしか言いようがありません。まさに立体テトリス状態!
翌日には無事に相模原の新校舎・V号館にトラックが到着し、研究室のメンバー(なんと現時点で総勢6名!)が搬入に協力してくれました。
また、ここではカークの関東エリアの統括部長(!?)、岡崎営業所(!?)の所長、そして京都営業所の所長(あれ?昨日京都で搬出手伝ってくれていませんでした?)、そして神奈川西営業所の担当者さん達がサポートに駆けつけてくれたおかげで、1時間強で荷下ろしが完了しました!
思えば、2021年3月も岡崎カークの担当者さん達からの多大なサポートを受け、コロナ禍の京都・京大松下研へと転がりこんだ記憶が蘇ります。
まだ桜も花を咲かせる前の薄寒い中、2トントラックと愛車のアウトランダーに入るだけの荷物を持って、まさに清水の舞台から飛び降りる覚悟で岡崎を出ました・・・。
当時は、色々と考え込んだ時期でもありましたが、「あの時の決断こそが唯一の正解ルートだった」と、今は心からそう思います。
その時も、そして今回もいろんな人たちに助けていただき、本当に素敵なご縁に恵まれた数年間でした。
一個人のホームページ上になりますが、みなさまに深く深く感謝申し上げます。
このご恩は一生忘れませんし、いずれお返し&恩送りできるよう、より一層精進してまいります!
さて、色々と感慨深いものがありましたが、これにて京都から相模原への機器・物品移動は完了です。
これから、持ってきた実験機材のセットアップを進めていきます。
なるべく早く実験環境の整備を整えたいと考えていますが、どうなることやら・・・。
北里大学での機器セットアップ@2025年9月12日〜継続中
講義や校務の中、研究室メンバーと協力しながら、なんとか研究室の形が出来上がってきました。あとは、研究を進めながら細かなところを最適化しながら完成を目指します。
研究室のスタンスとして、居室と実験室ともに完全に土足禁止(スリッパ着用)となっており、研究室前には実験室と居室を繋ぐスノコ通路が設置されています。
また、学生居室にはディスカッション用ホワイトボード&超短焦点プロジェクター、得津オススメの研究室図書が揃っており、気軽に研究談義ができるようになっています。
学生さんのデスクは、卒業研究時はフリーアドレス制、大学院生になれば個人デスクスペースを割り当てる予定です。
実験室には、日本人平均身長での目線で部屋の端から端まで見渡せるような実験台を設置しています。
また、実験台の天板高を90cmに設定して足元を開放することで、座り作業と立ち作業の両面において快適性を確保しました。ちなみに、実験椅子はハンズフリーチェア(座面直下のレバー以外にフットペダル式で昇降制御可能)になっており、両手が塞がっていてもベストポジションが出せるようになっています。
実験機器の配置は今後詳細を詰めていく予定ですが、ひとまず部屋の外周に共通機器(遠心機、各種検出器、PCR装置やフリーザー、試薬調整エリア)を配置し、中央実験台の方をフリーアドレス制の個人作業スペースとしました。
つまり、午前中早めに研究室に来る学生さんは、デスクや実験台の場所を選べます。
培養室には、3台の(得津の推しメーカー)循環式クリーンベンチ、大小合わせて6台の培養チャンバーが設置されています。
大きい培養チャンバーで藻類の維持や前培養を行い、小さい培養チャンバー内に設定した様々な環境条件で本培養を行います。
*この培養室以外にも、共同機器室に旧式の大型培養チャンバー(獣医学部・十和田キャンパスより移設)が設置されており、なるべく多くの培養スペースを確保できるように頑張り(各方面に掛け合い)ました!
実験室のシンクは1箇所ですが、180cmの大型シンクにしており、得津イチオシのガラス器具リンサー、大型イオン交換水供給装置が設置されているため、実験後の器具洗浄環境が楽しめる(?)仕様となっています。
また、最新の超純水製造装置が設置されており、よほどのことがない限り消耗品のランニングコストに悩まされることなく、何でもかんでも”とりあえず超純水で!”のマインドで試薬調整、培地調整を行う体制になっています。
そして最後に顕微鏡暗室ですが、合計5台(正立×4、倒立×1)の蛍光顕微鏡を設置しています。
BX51・OLYMPUS:暗視野、B/G/R/Chl-蛍光観察(従来型水銀ランプ)
BX43・EVIDENT:明視野、B/C/G/Y/R/Chl-蛍光観察(高圧水銀ランプ)
DM5000B・Leica:DIC/PH/POL明視野、B/G/R/Chl-蛍光観察(従来型水銀ランプ)、カラーカメラ
DM6000B・Leica:明視野、B/G/R/Chl-蛍光観察(高圧水銀ランプ)、電動Zステージ、高感度モノクロカメラ、マルチカラー撮影(電動フィルターターレット)可能、解析用WS付
Axio Observer・Zeiss:明視野、B/C/G/Y/R/Chl-蛍光観察(Colibri7/LED)、フル電動ステージ、AxioCam Mono305、マルチカラー&Z stack&タイムラプス撮影可能、解析用WS付
このように、それぞれ役割が異なる蛍光顕微鏡が設置されています。
この他、暗室内では生物発光測定や、光合成測定など「光の影響を最小限にする必要がある」測定や実験ができるようになっています。
これ以外にも、ルーチン用の倒立顕微鏡や実体顕微鏡も設置しており、一通りの細胞生物学ができる環境を整えています。
まだまだ建屋側の課題(大学事務・建設案件)が多く残っていますが、ひとまず研究室が稼働し始めました。
実験室、培養室、顕微鏡室などの整備がだいぶ終わり、残すところは細々とした点になったため、これにて研究室立ち上げ物語は完了としたいと思います!

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
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